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J鉄局TOP>珍車ギャラリー>秩父鉄道 サハ352
日本車輛製のアルミカー A 秩父鉄道 サハ352 アルミカー日本車輛は、中京圏に本拠地を置く鉄道車両メーカーです。そんなわけで、地元の鉄道会社である名鉄や、名古屋市交通局のほぼ全ての車両が、日本車輛製なのは、とても納得できることです。 ところが、双方ともに、アルミカーの導入には消極的で、名古屋市交通局が昭和55年に、5000系をようやくアルミカーで登場させたものの、名鉄にいたっては、とんとその姿を見ることはありませんでした。 しかし、地元の供給先がどうであれ、日車は先進技術の導入に意欲的でした。 アルミカーの導入は、昭和37年の山陽電鉄 2000形アルミカー が、第1号です。 これは、川崎車両(現川崎重工)が西ドイツの車両メーカーから技術導入して製作したものですが、 日車では、その翌年である昭和38年には、北陸鉄道にモハ6011形アルミカーを納入しているのです。 外板にあらかじめアルマイト処理した幅の狭い押し出し形材を使用するユニークな構造で、そのオリジナリティを世に問いました。 日立、近車、東急といったところが、アルミカーを試作したのが、昭和42年〜43年といったところですから、4,5年は先だったことになります。2番目とはいえ凄い。 日本車輛のお膝元で、アルミカーが量産されなかったのは残念なことですが、 かねてから、地方鉄道向けに標準型車体を多く供給していた(新潟交通、松本電鉄など)日本車輛は、軌道の負担が小さい軽量車両を提案してゆくことで、市場の拡大を画策していたのかもしれません。 とはいえ、やはり日車が目指す市場は、都市圏の大手私鉄。そして国鉄でしょう。 そのことを強く感じさせるのが、秩父鉄道 サハ352なのです。 北陸鉄道の モハ6011は、山代温泉などの温泉地に観光客を誘致する目的をもったクロスシート車で、 しらさぎ号と命名されたそのスマートな車体は、今もなお十分に通用するほどのかっこよさです。 しかし、足回りは、旧型で台車等を含め機器は重く、軽量さで売り出すには、すこし問題がありました。 そこで、3年後の昭和41年。 日本車輛は、2番目のアルミカーとして秩父鉄道のサハ352を製造しています。 秩父鉄道のサハ351形は、デハ300形のサハ(付随車)です。 でも、サハ351は、普通鋼製です。なぜサハ352だけが、アルミカーとなったのでしょうか。 サハ352の動力車となるデハ300形は、しらさぎ号同様観光用を意図して製作されたクロスシート車です。 急行用車両として登場し、当時としては、もちろんエース的存在でした。 同系の車両として、長野電鉄2000形、富士急行3000形が挙げられます。 しかし、しらさぎ号より3年前となる昭和34年に登場した300形は、ツリカケ駆動ではなく、カルダン駆動なのです。 それどころか、300形の第2編成である303-304には、空気バネ付きのNA-301形台車が取り付けられ、乗り心地の向上が図られました。 空気バネ付きの台車は、まだまだ試作の段階で、国鉄においても一部の特急車両にしか導入されていない時代です。 秩父鉄道のサハ352は、そんな300形第2編成の増備車としてデビューしたのです。 その流れをうけて、サハ352に装着されたNA-319T 形台車にも、空気バネが用いられています。 つまり、300形第2編成は、日本車輛が、次世代の車両として世に問うた試作車ユニットといえそうです。 サハ352は、デハ300形のサハですから、軽いのは当然といえば当然ですが、20m級の大型車両でありながら、22.5tと軽量です。 全く同形の鋼製車サハ351が26.9tですから、やはり軽いと申し上げるべきでしょう。 同じ昭和41年。国鉄は301系アルミカーを登場させます。 国鉄初のアルミカーであるとともに、通勤電車としては初めての空気バネ付き台車DT-34 を装備しました。 受注したのは、川崎車両と日本車輛の2社です。 日本車輛においては、このサハ352の実績があればこそ、国鉄301系アルミカーの受注につながったと思えるのです。 平成9年3月 廃車−解体
参考文献;鉄道ピクトリアル No620 関東地方のローカル私鉄 「秩父鉄道」 ;鉄道ピクトリアル No354 アルミ.ステンレス車体特集 ;鉄道ファン No294 特集アルミ.ステンレスカー 「ライト級のチャンピオン アルミカー」里田 啓氏 |
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